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名板貸



名板貸とは、商人が他人に自分の商号を使用して営業することを、許諾することをいいます。 この場合に、商号の使用を許諾する人(貸す人)を名板貸人といい、許諾される人(借りる 人)を名板借人といいます。例えば、名板貸人Aが「A」という商号で本屋を営んでいると きに、名板借人Bに対して「『A』という商号で本屋を営んでいいよ」という場合です。

名板貸人は、名板借人が行った営業の中で、名板貸人を営業主と誤信して名板借人と取引し た第三者に対して、名板借人と連帯して債務を負うことになります(14条)。これは、同じ 商号を使用していれば、取引の相手方としては、名板貸人を営業主と考えるのが通常である ので、取引の安全を図る点から、このような取引相手の期待を保護するためです。名板貸人 は、商号の使用を許諾している以上は責任を負いなさい、ということです。

商号の使用を許諾した場合には、すべて名板貸人の責任が発生するわけではなく、この名板 貸人の責任が発生するためには、次の要件を満たすことが必要です。

1、名板貸人が名板借人に商号の使用を許諾すること
2、名板借人が名板貸人の商号を使用すること
3、相手方が名板貸人が営業主又は取引主体と誤認して取引をなすこと

これらの要件を満たすことが必要です。

さらに、3の要件については、相手方は誤認をしたことにつき、無重過失であることが必要 です(最判昭41年1月27日)。取引相手が営業主を名板貸人と間違えてしまったとしても、ほ んのちょっと注意すれば間違えなかったというような場合には、3の要件は満たしません。


ところでこれらの要件を満たしても、名板貸人の営業と名板借人の営業が種類が異なる場合 には、原則として名板貸人は責任を負いません。例えば、名板貸人が本屋を営業し、名板借 人がラーメン屋を営業しているような場合です。このように営業の種類が異なる場合には、 相手方からすれば営業主が異なると考えるのが一般的だからです(最判昭43年6月13日)。

なお、名板貸人の責任は、あくまでも取引相手の保護が目的ですから、交通事故などのよう な不法行為が原因で発生した債務は該当しません。Aが商号「A」の使用をBに許諾した場 合に、Bが車体に「A」とペイントされた車で交通事故を起こしてしまいCをケガさせたよ うな場合には、名板貸人の責任は発生しません。なんでもかんでも名板貸人は責任を負うわ けではないのです。この点、注意が必要です。



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