商業登記 |
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商業取引においては、迅速に取引がなされることが必要です。しかし他方で、 取引相手のことをイチイチ調べなければならないとすれば、迅速な取引が害さ れるし、また相手のことを全て調べることも不可能です。 そこで、一定の重要な事項については登記により公示することにすれば、取引 相手としてもイチイチ相手のことを調べる手間が省け、安心して取引をするこ とが出来ます。また公示する側にしても、公示した事項については、相手方は 知っているものと考えることが出来るので、公示することに意味があります。 このようなことから出来上がったのが、商業登記の制度です。 この商業登記には様々な効力がありますが、まずその中で重要なのが、登記の 一般的効力としての公示的効力です。 登記すべき事項は、登記をしなければ、善意の第三者に対抗することができま せん(9条1項)。「対抗することができない」というのは、登記すべき者か ら相手方に主張できないということです。ですから、相手方の方から主張する ことは可能です。なおこの規定は、登記すべき事項は、登記をしなければ善意 の第三者に対抗できないというわけですから、登記する前であっても、悪意の 第三者に対しては対抗できます。もちろん登記後も、悪意の第三者に対して対 抗できます。 商業登記の効力として、もう一つ不実の登記の効力(9条2項)を取り上げよ うと思います。 登記の申請をすべき者が、故意又は過失により不実の事項を登記した場合、そ の者はそれが不実であることを、善意の第三者に対して主張することが出来ま せん。この規定により、登記を信頼した相手方は保護されます。これは迅速な 取引の安全を保護するために登記に公信力を認めたものとされています。 9条の1項は、登記された事項が真実であることを前提として、登記の公示的 効力を定めたものであるのに対し、2項は、登記された事項が不実である場合 に、登記に公信力を認めた規定です。 無断転載・転送を禁じます。 Copyright(C)2006 ゴトウ All Rights Reserved. |