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匿名組合



匿名組合とは、当事者の一方が相手方の営業のために出資をなし、その営業より生じる 利益の分配を受けることを約することをいいます(535条)。この場合に、「当事者の一 方」のことを匿名組合員といい、「相手方」のことを営業者といいます。簡単に言えば、 匿名組合員がお金を出して、そのお金で営業者が商売をして儲けるわけです。そしてそ の儲けの中から匿名組合員が利益を分配してもらうというわけです。

匿名組合は、匿名組合員と営業者との間の契約によって成立します(匿名組合契約)。 匿名組合員は金銭その他の財産のみを出資の目的とすることができます。これはつまり 信用や労務といったものを出資目的とすることはできないということです。匿名組合員 の出資は、営業者の財産になります(536条1項)。

「匿名」ですから、匿名組合員は後ろに隠れていて、表には出てきません。ここに匿名 組合の特徴があります。その結果、匿名組合員は、営業者の行為について第三者に対し て権利及び義務を有しません。しかし、匿名組合員が、自己の氏もしくは氏名を営業者 の商号中に用いること又は自己の商号を営業者の商号として用いることを許諾したとき は、その使用以後に生じた債務については、営業者と連帯して弁済する責任を負います。

このように原則として後ろに隠れていて、表には出てこないわけですが、出資をしてい る以上は、営業者の業務を監視する権限を有します。具体的には、貸借対照表の閲覧や 謄写を請求したり、業務や財産の状況を検査したりできます(539条)。


匿名組合契約で、匿名組合の存続期間を定めなかったとき、又はある当事者の終身の間 匿名組合が存続すべきことを定めたときは、各当事者は、営業年度の終了時において、 契約の解除をすることができます。ただし、いきなり「今日で止める」ということは認 められず、6ヶ月前にその予告をしなければなりません。相手方の利益を保護するため です。そうは言っても、匿名組合の存続期間を定めたか否かにかかわらず、やむを得な い事由があるときは、各当事者は、いつでも匿名組合契約の解除をすることができます。 やむを得ない事由があるときは、予告をしなくても仕方がないということです。

このような場合のほか、次の事由によっても、匿名組合は終了します(541条各号)。
1、匿名組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
2、営業者の死亡又は営業者が後見開始の審判を受けたこと
3、営業者又は匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたこと
上記事由が発生した場合には、匿名組合を継続することは無意味であるか、または不可 能だからです。



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